海に沈みながら、境界のことを考えていた。
最初に境界を意識したのは、「痛み」だった。
痛いとかも知らなかったから、今思えばである。
つまり、赤ちゃんだった頃、寝返りをうった時に、ベビーベッドの片隅に頭をぶつけた時だ。
そのときに自分と、そうでない物の間に何かあると痛みによって感じた。
身体という境界だ。
自分は、この身体という容器に入っているのだ。
「いったい、何がはいっているのだろう?」
今だって、海に沈みながらも身体という境界は感じている。
でも、内側が自分だとも思えない。
正体が見えない。