もう上も下も、右も左もない。
沈んでいるはずだが、それすらよくわからない。
上昇しているのかもしれないし、右に進んでいるのかもしれない。
あるいは左に引き戻されているのかもしれない。
もう、そんなことどうでもいい。
ただ、ただ力を抜き、あるがまま、あるがまま。
海の中にいるはずだが、宇宙の真空状態の中にいるようだ。
いや違う、真空なんてものはなかった。
海の中の、水のように身体は何かしらの分子や原子、粒子、素粒子によって繋がっている。
「繋がられている」と言った方がいいのかもしれない。
分離しているかと思われたものも、実はひとつだ。
境界は無い。
それは無境界だ。